外国人社員から退職の相談を受けた日、
会社が急がず確認すること
引継ぎと手続だけに追われず、本人が次へ進むために必要な会話を残す。退職の相談を受けた時の会社の動きを考えます。

「少し相談したいことがあります」と言われた時、人事の頭にはすぐ引継ぎや後任のことが浮かびます。現場が忙しいほど、退職日だけを先に決めたくなります。ただ、外国人社員の退職には、本人の次の仕事や在留資格に関わる確認が重なります。退職日を決める前に、本人が今どこへ向かうのかを聞く。会社ができる最初の仕事は、そこです。
会社が在留資格の結論を出すことはできません。一方で、退職の事実、雇用保険、外国人雇用状況の届出、特定技能なら受入れ機関としての届出など、会社側で確認すべきことは残ります。制度を一度に説明しようとするより、誰が、何を、いつ確認するのかを分けておくと、本人にも担当者にも余白が生まれます。
最初の面談で、
「次は何をする予定ですか」と聞く
退職の理由を細かく問いただす必要はありません。ただ、次の勤務先がすでに決まっているのか、仕事を探す予定なのか、帰国を考えているのかで、本人が確認すべき手続は変わります。今は答えが出ていなくても構いません。分からないまま退職日だけが近づくことを避けるための会話です。
就労系の在留資格を持つ人が転職や退職で契約機関との契約を終えた場合、本人には所属(契約)機関に関する届出が必要になる場合があります。出入国在留管理庁は、対象となる在留資格や契約終了などの場合に、14日以内の届出を案内しています。本人の在留資格によって対象や手続が異なるので、会社が「これで大丈夫」と言い切るのではなく、公式の案内へつなぐ姿勢が現実的です。
たとえば「次の会社は決まりました」と聞いた時も、口約束なのか、入社日が決まっているのか、本人が何を確認できているのかまでは別の話です。担当者が一言だけでも「在留資格に関する確認は、早めに公式窓口へ」と渡しておくと、退職後に連絡先を探す負担を減らせます。
会社の届出は、
在留資格から逆算しない
会社側の届出には、雇用保険の扱いと、外国人雇用状況の届出があります。厚生労働省は、外国人が離職した時、雇用保険の被保険者であれば資格喪失届と併せて、被保険者でなければ離職日の属する月の翌月末日までに、ハローワークへの届出が必要と案内しています。
ここで混同しやすいのが、入管への所属機関による届出です。出入国在留管理庁の案内では、労働施策総合推進法に基づく外国人雇用状況の届出が義務付けられている機関は、その届出を提出すれば、同じ対象について入管へ所属機関による届出を別途出す必要はないとされています。会社の届出と本人の届出は、同じものではありません。担当者が一枚のチェック表にまとめ、担当と期限を分けると、どちらかを「相手がやるだろう」と取り違えずに済みます。
特定技能なら、
相談を受けた時点で道筋を確認する
特定技能の雇用では、一般の雇用管理に加えて、特定技能所属機関として確認する届出があります。自己都合退職以外で受入れが困難になる場合など、実際の退職日より前の段階で届出が必要になる扱いがあります。退職の種類、雇用契約の終了日、支援の状況で必要な対応が異なるため、「最終出勤日にまとめて確認する」運用では間に合わないことがあります。
現場の責任者が退職の相談を受けたら、人事と登録支援機関のどちらへ、いつ共有するのか。本人へ渡す連絡先は何か。これを平常時に決めておけば、相談の場で制度の説明を暗記している必要はありません。事情が変わる仕事ほど、連絡の順番を先に決めておく方が機能します。
最後の出勤日に、
関係を切らずに終える
退職手続は、会社にとっても本人にとっても事務が多い日です。だからこそ、返却物や給与の説明と並べて、「届出や次の手続で確認先が必要なら、どこを見るか」を短く渡しておくとよいでしょう。個別事情をその場で判断できない時は、出入国在留管理庁の外国人在留総合インフォメーションセンターや、適切な専門家へ確認する方法があります。
採用では、働き始める人が迷わないよう準備します。退職でも同じです。去る人を引き留めるためではなく、事実と期限を正確に扱い、それぞれが次の場所で困らないようにする。その姿勢は、残る社員にも伝わります。
この記事は一般的な情報です。届出の対象、期限、必要な対応は在留資格、雇用保険の取扱い、退職理由、受入れ状況により異なります。実務では最新の公式案内を確認してください。